2023.1.29

イベント・生涯学習

門田美惠子先生が瑞宝双光章を受章されました

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広報

令和4年秋、門田美惠子先生が瑞宝双光章を受章されました。

門田先生は、人間総合科学大学大学院  人間総合科学研究科  心身健康科学専攻  博士後期課程修了、学位:博士(心身健康科学)を取得されました。
博士の学位取得後の著作物は、「子どもの生活と心身の健康―学校生活を快適にー」と題し、発刊されました。
(発行所:産業図書株式会社 著者:門田美恵子 吉田浩子 青木 清)

また、先生は、働きながら学び、多くの免許を取得し、看護師、養護教諭、公立小学校にて教頭・校長、大学院教授等、各方面で長年ご活躍され、
現在は、本学の人間科学部心身健康科学科(通信制)で、養護教諭養成に関する科目を担当して下さっています。
(大学院に在学中は、保健医療学部の看護学科と、養護教諭養成の科目等を担当してくださいました。)
そして、現場でのご経験を活かし、養護教諭研修会や児童館指導員研修会等の講演をされ、更にご活躍中です。
今後は、「今迄と同様、健康で日々を楽しめるように過ごして行けたら良いと思っております。」との事です。

「瑞宝双光章」は、公務等に長年にわたり従事し、成績を挙げた方に授与される、名誉ある素晴らしいものです。
この度は、誠におめでとうございます。
益々のご活躍をお祈り申し上げます。

以下、先生の熱い想いや博士論文について、お聞きいたしました。

<叙勲受章に関すること・経緯など・仕事について>

令和4年秋の叙勲に際しまして、はからずも瑞宝双光章受章の栄に浴し、身の引き締まる思いでおります。
これもひとえに大勢の皆様方の長年にわたる温かいご指導ご支援によるものと深く感謝しております。
叙勲については、全くの想定外でしたので、ただただ驚きでした。各新聞には「教育功労:元公立小学校長・元養護教諭」とあります。
推薦機関では元養護教諭時代の活動も大きく評価されていました。

中学校を卒業後、准看護婦養成所で准看護婦免許を取得し、北海道の公立病院や上京し慶応病院で計3年間の実務経験後、
慶應義塾大学医学部付属厚生女子学院(看護学校)を受験することができました。
看護婦免許取得後、ソニー厚木工場の診療所に看護婦として勤務しました。
3700名の社員に対し公衆衛生についても学びたいと思い保健婦学校に進学し保健婦と養護教諭の免許を取得しました。

当時保健婦の募集はなく、養護教諭として初めて就職したのは山間の準僻地校で、本校と分校2校の計3校の大規模校でした。
医師は遠い分校の学区に内科医院が1軒ありました。看護師の経験は本当に役立ちました。
今迄の病院勤務と違いこれからは学校という教育の場なので、子どもの生涯に役立つ健康教育に力を入れようと決めました。

まず、う歯罹患児が多く驚きました。治療済みもむし歯と数えます。
6歳臼歯(永久歯)をむし歯にしない歯の健康を実験等で学びながら、皆で取組み神奈川県で一番良い歯の学校になりました。
ぎょう虫罹患児も200名近で、低学年に多いことが分かりました。PTAや幼稚園の協力でやがて数名のみとなりました。
性教育も女子だけではなく学年に応じた内容を全クラスで実施できるようになり、
心の健康では自分も周りも大切にする具体的な方法を繰り返し実践で学ぶことがでるように試みました。
不登校児童は、保健室でゆっくりと過ごしながら勉強に追いつき人間関係作りを学びます。
子どもの声はあまりにも小さく、SOSの発信を聞き取るアンテナを高くする努力が私たちに求められています。

養護教諭として5校勤務しましたが児童・教職員・三師会・家庭・地域の協力により5校全てが、
歯科保健県最優秀校・県一位健康推進学校となる喜びをもらいました。
教頭そして校長となり、複雑化している学校経営を任されるようになり、それは奥の深いやりがいのある仕事でした。
子どもたちがスキップしながら登校し生き生きと学校生活が送れるように、教職員も切磋琢磨しながら明るく元気に安心して職務に専念できるように、
家庭や地域から信頼される学校にとチームで目標を掲げながら、定年まで一歩一歩進めてまいりました。

多くの県での講演や出版の機会を頂き、それも私にとっての学びでした。
フルタイムの仕事の他に家事・育児・介護・学びが混在しながらも勤められたのは、家族や多くの方に支えて頂いたおかげです。
中学卒業後の看護からスタートした道は、人に恵まれ職に育てられ、子どもたちにそっと寄り添いながらの、彩り豊かな自由で充実した日々となりました。
今もこの道をゆっくりと歩いています。

 

<博士論文について>

●修了 課程名 人間総合科学大学 人間総合科学研究科 心身健康科学専攻

●年月日: 2015年9月 修了(卒業)

●学 位:博士(心身健康科学)

博士論文テーマ:小中学生の生活実態と心身の健康 ー心身健康科学の知見からー

●内 容

教職員が学校生活の中で子どもの健全育成阻害因子を早く見つけ、解決の困難化を防ぐための手がかりを見つける研究です。
児童生徒の『生活実態:食事や睡眠時間など・学校が楽しい・友人関係が良い・授業が分かる等』と『「登校意欲」「学習に対する負担感」「疲労感」「心身不調の自覚症状」』に関連があることが証明された。
学校側が学習以外も生活実態等を適宜把握することにより彼らの疲労感や心身不調等に早期に対応することができます。

●研究の実際

博士論文作成については、当初の「研究テーマ設定」段階から最後まで指導教員の先生(青木清先生・吉田浩子先生・大東俊一先生)に懇切丁寧なご指導を頂きました。
どういうことを知りたいか。それはどのようにして調べるのか、調査方法・期間・対象・分析の対象と方法・論文作成方法等、全てアドバイスいただきながら進めることができました。
ソフトを使用しての統計処理は人生初めての学びです。本学図書館で統計ソフトの本を探しておりましたら、図書館の先生が初心者にもわかりやすい参考本を紹介してくださり、何とそれには付録にソフトまでついており助かりました。
自分でも購入し本がボロボロになるまで使用しました。
また、指導教員の先生から関連の深い先行研究を行っている大阪市立大学大学院 独立行政法人理化学研究所を紹介していただき、直接大学を訪問してのご指導を頂くことがきたり、
子どもや教員の調査について2県2市の教育委員会や両市の校長会のご協力を戴くこともできました。大学院では豊かな学びをさせていただきました。